hebiashi diary

てれび見の記録など。

『すずめの戸締まり』観ました。

こんにちは。新海誠監督の新作『すずめの戸締まり』を初日午前中に観てきました。話題作は早く観るに限る!と思っています。話題作って、観た人はどうしても語りたくなるし、その語りを薄目で通り過ぎるにも限界があるし、とまあそういうわけで今回も早々に観てきました。

Twitter、私のタイムラインではすでに様々な解釈がなされ始めていて、そういうのをいくつか読んでなるほどーと思ったりしています。

 

映画、とても面白かったんですが、これ、面白いって言葉で括っちゃっていいの…?という葛藤が生じてしまって。うまく語れないでいます。いや、括っていいんですよ、いいんだけど、付加された意味合いが重すぎるんですよ。

 

新海監督はこれまで『君の名は。』『天気の子』そして本作と続けて【大災害】と正面から向き合った作品を作ってこられました。「起こることは変えられないならせめて人を救おう(救いたかった)」としたのが『君の名は。』、「誰かの自己犠牲を是とするくらいなら世界を多少歪めても構わない」としたのが『天気の子』(これについては東日本大震災のときに南三陸町で避難勧告放送を続け結果津波に巻き込まれ亡くなった女性職員のことが連想されます)

そして続く本作は、「やはり大災害は起こらないに越したことはない」し「起こってほしくなかった」し、でも「起きたことを忘れて欲しくない」と、かつての【大災害】に遭遇した大勢の人々に手向けた鎮魂の祈りのような作品なのかなと思います。

 

そういう意味付けを考えずに見れば、少女が自らの使命を果たす「往きて還りし」物語であり、ファンタジーの王道ですね。そして運命の相手に出会う「ガール ミーツ ボーイ」モノでもある。綺麗な円環構造でハラハラドキドキもアクションもあり、の面白く楽しめる映画かな、と思います。

伝奇ものとしても、日本の祭祀の司(=天皇)とそれに仕えるサダイジン(左大臣)・ダイジン(右大臣)が龍脈を抑える話とも見れますね。(これは原作小説に当たってからもう少し考えたいと思います)

 

ところで、感想をいくつか摘み読みしたところ、東日本大震災を扱っているのに原発放射能汚染に関する描写が一切無い(=「漂白されている」というのが最近流行りの言い回しですね)ことを不満に感じているかたもいらっしゃるようです。が、私が考えるに、これは致し方ないことといえるかもしれない。…というのも新海監督は1973年生まれ。そのころすでに福島原発1号機は営業運転開始していますし、一番後の4号機だって営業運転開始は1978年ですからね。自然災害である地震そのものとは違い、原発の事故とその後の汚染は(地震が引鉄になったとはいえ)明らかに人災ですから。この件を描くには全く別の角度・別の物語が必要で、それはファンタジーに収めてしまってはいけないものでしょうから。

ゆえに、本作と一緒に混ぜることは出来ないと思いました。

 

最後に軽めの話。

本作の演者さんとして、声優を主な仕事としていらっしゃる方々ではなく(声の出演としては)フレッシュな方々が主な役に選ばれています。主人公の岩戸鈴芽役には原菜乃華さん(『ナンバMG5』の吟子ちゃん役だったんですね!今調べて知りました!)、宗像草太役には松村北斗さん。松村北斗さんって顔もいいけど声もめちゃくちゃ良い。艶やかで高めの柔らかい声で「すずめさん」と呼びかける声はずっと耳の中でこだまします。鈴芽の育ての親である叔母・環には深津絵里さん、そのほか染谷将太さんや伊藤沙莉さん松本白鴎さんなどなど。ダイジン役の山根あんさんは子役さん!見てる時も子供声上手いな?と思って見てたんですけどリアル子役さんだったー!いま改めて周辺情報をチェックしてるんですけどビックリですわ。そしてエポックメーキング作に登場しがちな神木くんね!スカした眼鏡の金持ちボンボンと見せかけて実は友達思いのとてもいい奴の芹澤役。神木君の自然っぷりにこれまた驚いた私です。好き。

あと、ほぼ唯一のメインキャスト声優さんとして鈴芽の亡き母・椿芽に花澤香菜さんが配されていました。「今を生きていない」役として強い印象を残すことになったと思います。

 

まあ今のところこんな感じです。

原作と入場者特典の「新海誠本」を読んだらまた感想上げるかも。