hebiashi diary

てれび見の記録など。

『カムカムエヴリバディ』完走しました。

お久しぶりです。

さてタイトルの通りです。カムカムエヴリバディ完走しました。twitterでもいろいろつぶやいてたんですけど、収まりきらなくなったので はてブロに放流しようと思います。

 

カムカムと言えば、朝ドラ初の3世代ヒロインという触れ込みでスタートし、2021年11月~2022年4月まで放送したNHK連続テレビ小説です。その1世代目ヒロイン:雉真(橘)安子と、一昨年死去した私の母親が何かとかぶるところがあり、鍵付きアカウントのほうで以下のような一連ツイートを行いました。

2022年4月5日午前10:17

カムカムエヴリバディ、安子の生存が確認されたので一昨年亡くなった母のことを話したいと思います。
母が亡くなって葬儀も終わりひと息ついた頃、父から話があると言われました。ちなみに母も「やすこ」という名前です。字は違うけど。安子とほぼ同年代、1927年生まれでした。

父から告げられたこと。実は母は再婚で、私たちにはまだ会ったことのない姉がいるということでした。父も会ったことがない人です。
母の相続の関係で戸籍などを調べて名前や住所などが判明したのです。父はもちろんその存在を知ってはいましたが具体的には会ったこともなかった。

戦後すぐ、母がまだ20歳くらいの頃見合い結婚で嫁いだそうです。そして姉にあたる娘が生まれたのですが身体を壊し泣く泣く娘を置いて実家に戻ったとのことです。母実家はその子共々面倒みると言っていたのですが、どうやら義母にあたる人が子どもを手放さなかったようです。

義母にいじめられ夫にも庇ってもらえず身体も壊し婚家に子どもも取られてしまったのがうちの母でした。
その後離婚が成立、10年以上を経て父と出会い結婚し私と弟が生まれ、一昨年亡くなりました。
私たちには前の結婚のことも生き別れた娘のことも全く、一言も言わずに墓に入ってしまいました。

カムカムでいえばるいに当たる私の姉。彼女はついに生前の母に会うことはできなかったのです。ちなみに母方の親戚とはその話題はタブーになっています。大事な家族を酷い目に遭わせた相手の話ということで。

後に、母の法事で私たち遺族はその方に会うことができました。優しそうな伴侶の方と巡り合い、幸せな生活を送られているようでした。お子さんはいないとのことでした。初対面なのにお互いどこか母の面差しに似ているところがあり不思議な感じがしました。

だからカムカムは私にとっても特別な作品なのです。同時代を生きた「やすこ」の話でもあるので。
るいが安子に会えることを願っています。

 

ここで願っていた通り、作品中でるいは安子に会うことができました。そのこと自体はよかった。喜ばしかった。

でも…。
何をどう書いていいのか…うまく伝わらないかもしれませんがとりあえず書きますね。

だいたい、まずはジョーがるいに「クリスマスコンサートで歌ってみないか?」と持ち掛けたあたりから違和感が抑えきれなくなってきたんですよ。トミーとジョーが出るプロの舞台になぜ素人のおばちゃんが出ることになるのか?その前振りとして、ジョーとるいが渡米した先で「オープンマイクのステージに立った」件が語られているので、このコンサートもそういう素人飛び込み系の企画があるのかな?とも思ったけど別にそんなことはなかった。でもまあそれはいいですよ。ミュージシャン仲間うちのお遊び企画なんだよね?当日は出入り自由のゆるいコンサートだったみたいだし。

ひなたからコンサートのチケットをもらったジョージ(アニーの甥)とアニー・ヒラカワ(実は安子)。
コンサート当日まで悩んでいたと思われるアニー。「サムライベースボール」の宣伝も兼ねてなのかな?ラジオ番組に呼ばれて自分のことを話す段になり、初代黍之丞の映画を見ましたか?と問われて突然流暢な日本語で語りだすアニー。その内容は自分が安子であると示すもの。えっと、これやっぱり、放送事故みたいなもんだと思うのね。段取りにない内容を滔々と話し出すことに加えて、経歴詐称ともいえるわけで(アニーはシアトル生まれの日系アメリカ人ということで、通訳もついてたから)、後で大問題になりませんでしたか?と条映上層部とハリウッドのプロデューサーに聞きたいところ。まあ、映画はヒットしたみたいだから結果丸く収まったんでしょう。

その日の放送後には私、

とりあえず安子がアメリカでも生きがいと仕事を持って生活していてくれたことが嬉しいよ、私は。

とツイートしてる。そこまではまだね…

で、その放送を聞いてた大月一家と偶然居合わせたトミー。ひなたは帰米する安子を引き留めるべく飛び出していく。放送局にはもういない。会場の岡山から関空までは2~3時間はかかるらしい。間に合わなかった…と悄然と会場に戻るひなたの目の前にアニーの姿が。思わず声をかけるひなた、逃げるアニー。
ここはさすがに物議をかもしたシーンでしたね。だって高齢者が5㎞近く爆走してたんだもん。後を追うひなたが追い付けないんだよ?これはシニアマラソンの出場者並み。(ランナー中野陽子氏の79歳時のフルマラソン記録は4:11:50)
5㎞近くというのは、放送後「あさイチ」に寄せられた現地の視聴者からのコメントで知った事なんですけどね。設定上、思い出の神社まで逃げたってことなんですけど、現地を知らない私ですら「どれだけの距離逃げるんだ…」と思ったくらいなので画面だけでもかなりの距離を感じたってことなんですよ。
とにかくそのシーンが衝撃的過ぎて、正直、いったい何を見せられているんだ…と呆然となってしまいましたね。

その後、安子をおぶって同じ道を戻るひなた。タクシー乗らんのかいっ!ってツッコみましたよね。これは冒頭で戦後の焼け跡の同じ道をるいをおぶって歩く安子が描写されていて、それのリフレイン映像という作りのようなんだけど、なぜそれをいまのひなたがしなくてはいけないのか…。しかももうジョーとトミーの演奏は始まってるってのに。

この演奏シーンは胸熱だったんだけどねー!客席には昔からの知人が集って、復活したジョーとトミーの演奏に涙する小暮さん・ベリーちゃんとか、いいシーンだった。
るいが歌うサニーサイドは、トミーがジョーの昔の音源を用意してて、昔のジョーのトランペットと今のピアノ、トミーのトランペットのセッションというこれ以上ない演出。

そして、るいが歌い始めてまもなく、会場に現れるアニー(安子)とひなた。その姿を見て思わず詰まってしまうるい。1コーラス歌い終え、ステージから降りて安子と抱き合うるいの口からあの時言えなかった「I love you」の一言…。だーかーらー!ほんと、前段のことを忘れて無心に見ればすごくいいシーンなのに、ラジオでの激白と岡山市内爆走という無茶な演出のせいで、無心になりきれなかったんですよ…つくづく残念でなりません。


ところで。安子について、Twitterでは「逃げ癖がある」という批判が見受けられたんだけども、私はそうは思わなかったです。安子がはっきり「逃げた」のは、るいが放った「I hate you」の言葉に衝撃を受けて日本から逃げ出した時だけじゃないかな。あとはラストの大爆走。るいと大阪に逃げた時はもうそれしかとる手段がなかったしストーリー上の不自然さは無かった。アメリカに逃げた時も、周到に布石が打たれ演出されていたので、ロバートがすぐに安子を見つけ出したこと以外はそれほど不自然さは感じなかった。
まあそもそも捨てた我が子から逃げきるっていうのは、うちの亡き母みたいに口を噤んで墓まで持ってくってことですからね。リアルとしてはそっちですよ。

 

というわけでね、アニー・ヒラカワの正体が安子だっていうネタばらしを引っ張り過ぎたのが勿体なかったと思うんです。もう少し早くわかっていてもよかった。アニーはさまざまな「安子らしいふるまい」をしていたから視聴者は「ひょっとしてアニーは安子?」や「いや安子渡米後の親友とか?」などと深読みすることになっていたのですが、ここは深読みさせる必要はなかったんじゃないかな。というか、岡山ロケシーンの画作りとるいとの再会シーンとネタばらしを同時に盛り込もうとしたために詰め込み過ぎて無理が生じたのでは。演じる役者は別人になっていたけれど、それでも安子はカムカムの1番目のヒロインなのだから、もう少し尺をとって丁寧に扱ってほしかったなと思います。

このほかにも、物語が最後に近づくにしたがって明らかに「伏線回収と画作りを優先させたのだな」と感じるシーンが多くなり、そのために余計な引っ掛かりをおぼえるようなシーンもあり、バタバタと駆け足で終幕を迎えてしまったなという印象です。