hebiashi diary

てれび見の記録など。

『舞いあがれ!』完走しました。

2022年下期NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』が無事に最終回を迎えました。

終わって、なんならもう次の『らんまん』が始まってるんですけど、舞いあがれの内容や感じたことを思い出そうとしてるんですが……おそろしいくらい何も残ってないんですわコレが。見てる間はそれなりに面白く見ていたし盛り上がっていたはずなのに、今思い出そうとしても靄がかかったようになりうまく思い出せない……(今、リビングでこれ書いてるんですけど、春休み中のムスメが友達と音声トーク中で気が削がれているせい…だと思いたい)

これ、どういうことなんだろう。もしかして認知症…?

 

はい。戻ってきました。これ書かないと次に進めない気がするので頑張ります。自分の中のけじめというか、まあそんな感じです。

 

『舞いあがれ!』の最終的な印象は上記の通り基本的には「何も残らなかった…」なんですけど、何度も思ったのは「官製っぽい夢物語だな」ってことです。今の政府が掲げる理想に限りなく近い世界が描かれていたような気がしています。

たとえば…何か問題が起きた時には公の手を借りず極力自分たちの力で何とかしているような描写や、企業も自分たちの力でつながっていくような流れ、放課後居場所的なデラシネ、夢をかなえるその途中で亡くなってしまった父の夢を継ぐためにパイロットになるという自分の夢を諦める主人公(その直接の引き金は内定企業からの就職延期言い渡しがあったことだろうと思われるのですが)母とともに父の遺した会社を切り盛りしていく姿。男社会といわれるものづくり工場社会の中でなんとなくうまく成功していくスーパー営業ヒロイン。配偶者は幼馴染の優しいイケメン。起業した「こんねくと」社も最初こそ躓きかけたもののその後は大きな障害も無くなんとなくうまくいってしまっている様子…。病に倒れた祖母を引き取り共に暮らし、最後には「空飛ぶクルマ」の開発に携わり「うちのネジを飛行機の部品にする」という父の夢を叶え、少し先の未来に操縦者として祖母を元の家に送り届けるハッピーエンド…。

ああ、身も蓋もないまとめ方になってしまったけど、ごくごく平たく言えば上のようなストーリーでしたよね。っていうか、すべてが最終的にうまく行きすぎて平たい夢物語になってしまった…というか。

「民間の力で、自助共助でここまで頑張ってくださいね!」という言外のメッセージを自分が勝手に受け取ってしまったのは今の世情のせいもあるかもしれません。

 

ヒロインも周囲の人たちもそれぞれ葛藤があったはずで、見ている最中はそれなりに面白く見てたはずなんです。でも終わってみれば私にはあまり刺さるものが無かった…。

感性が鈍ってしまったのかもしれません。前向きでひたむきで親思いで努力家の主人公が自分と違いすぎてこれといった共感も出来ず、優等生の人生をただ眺めているしかなかった感じです。舞ちゃんに弱点はないのか?というか、出てる若い人たちがみんないい子過ぎて、もっとはっちゃけたりしないのかい?酔ってグダグダになったのは失敗した悠人兄ちゃん(と久留美父)くらいじゃないか?そういうのはもうおじさんおばさん仕草なんだね。ノンアル飲料が一般的になった令和だからな…みたいな気持ちになってしまいましたわ。

エピソード単位で行けば、貴司くん苦悩篇が印象的でした。押しかけファンの秋月さんと編集者のリュー北条が短歌についてのやり取りをするところとかは実に興味深かったです。貴司くんが舞ちゃんへの気持ちをもだもだと抱えてたのも愛おしかった。舞ちゃんが航空学校で知り合った柏木くん(目黒蓮くん)を彼氏だと紹介した時、閉めた窓の向こう側でどんな顔になってたのか…妄想が捗りました。登場人物としてはやっぱり人間的な弱さを見せる貴司くんが見ごたえあったかもです。

 

キャストのみなさんはとてもよかったです。

ヒロインの福原遥さん、お疲れさまでした。最後まで可愛くて透明感ありました。相手役の赤楚さん、ヒロインに寄り添い支える令和のパートナー役はマッチョイズムから解放されてたのがよかったです。祖母役の高畑淳子さん、50代から80代?までを見事に演じ分けてくださいました。永作博美さん、主人公を支え、また主人公に支えられる母親役お疲れさまでした。ヒロインの親友・久留美役の山下美月さん、福原さんの持つ陽のパワーと対照的に少し陰影のある役どころでしたが真面目さが伝わってきました。