hebiashi diary

てれび見の記録など。

ふたつのスピカ#20

 終わりましたー。
 なんだかね、途中から泣けて泣けて仕方なかったっすよ。アスミの元に集った仲間たちが、それぞれ自分のインナーチャイルドの姿をとってライオンさんに夢を告げ、ライオンさんがしっかりと彼らにバトン(というかハーモニカですけどね)を託して去っていくのを見て、ああ、これからが彼らの本当の始まりなのだという思いを強く持ちました。

 「産んでくれてありがとう」って、私は母にそういうふうに言った事はないのですが、そんでもってコンプレックスの多い人生を送ってきたのでずうっとそんなふうに思ったことすらなかったのですが、恥ずかしながら、子どもを産んだ時に初めてそう思ったんですよ。
 妊娠・出産はなかなかに痛かったりつらかったり恥ずかしかったり(笑)制約が多かったり、それから産んだ後もタイヘンだったりするのだけど、子どもを産んだ後では自分の誕生日に対する考え方が一変してしまいました。自分の母親もこんなふうにして自分を産んでくれたのだと、そして誰かに生かされてここまできたんだなということが身に迫って感じられるようになったのです。ったく、自分の(体験しないとわからないという)想像力の乏しさには呆れますが、今は心から「産んでくれてありがとう」って、思ってます。
 もちろん、今更恥ずかしくて口には出して言えませんけどね(笑。

 何か大事なもの(ひと)を得た時や、大切な夢を持って前に進もうとしているとき、つまり、人生における充実感を得て初めて「生まれてよかった」と感じるのかもしれません。それを感じることで、自分へと脈々と連なった多くのご先祖たちや親への感謝の心が生まれてくるのかな、なーんてね。

 良い作品でしたよ。大抵のジュヴナイル作品は「ああ自分が主人公と同じくらいの年頃に読んでおけばよかった」と思うことが多いのですが、これはそうじゃなかったな。自分の子どもがいるまさに今、これと出逢えて良かったと思います。


<ちょっと追記>
 本作はアレだな、ファンチルとかプラネテスとかとは違って、主に登場人物の心の中を描いた極私的な「小さな物語」の良作だということですね。