hebiashi diary

てれび見の記録など。

『夢を与える』綿矢りさ

どこまでもどこまでも周囲の人に流されつづける主人公を取り囲む、極小の世界。金魚鉢の中のキレイな金魚みたい。本当の自分と作られた自分との乖離に苦しむ主人公にやがて破綻が訪れる・・・。
って感じの、毛色の変わった破滅型青春モノな一冊。テーマ性はそれほど前に出てこない。芸能界っぽい世界をちょっと素描してみました、って感じでもある。もっともっと絞り込めるだろうとも思うけど、絞り込まないところをリアルととらえるべきか。あともう一つ二つひねりがあればなあ。
あと10年くらいして、著者がもっと成熟したら、その後のゆーちゃんについて書いてもらいたいとちょっと思う。
ちなみに『インストール』は斜め読み、『蹴りたい背中』は未読。
追記
こんな言葉も浮かんだのでメモしとく。
・使い捨てられる若さ、使い捨てられる人生。
・或いは、精神的なワーキングプア(いくら働いても自己実現には向かわない)